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受賞のことば

先に結社誌の巻頭句を取ることが出来た旨、お伝えしました。
本日、その「受賞のことば」を脱稿しました。
自画礼賛の内容が続きますが、ご笑覧賜れば幸いです。


■巻頭の人

ハイクとは俳苦
                    
「ハイクって、ほんとうは“俳苦”と書くのじゃないかな」
 これは気の置けない俳句仲間との酒席での私の戯れ言だ。
 言わんとするところは、人生五十も越すと、人間誰でも心の底に疵の一つや二つは持つ。その癒されない日頃の疵の痛みに耐えかねて、ついぽろりと無意識のうちに吐く一言半句が俳句という訳だ。
 私はざっと三百年続いた郷里の家を継がなかった。あまつさえ、つぶしてしまった。長い間悩み抜いた末に、いま私の心の底にあるのは、単純に、父母や祖先に対する深い詫びと鎮魂の気持だ。
 このたび、「自選十句」を選ぶに当たって、いままで作った自句を調べる機会があった。圧倒的に幼いときに体験したふるさとの自然を詠ったものが多かった。しかも自分で佳句と思われたものには、自分のふるさとの自然を代々のわが家系の人々と一体となって眺めている――いわば“共同既視感”を覚えて作った句に多いことがわかった。
 その時、これは今後私が佳句を得るための一つの条件かもしれないと思った。
                          


自選十句
           
いまここに水の届きし春田かな
摘みためてさらにつめ込むよもぎかな
青春はいつも大揺れ花こぶし
大いなる鱗七色櫻鯛
三日月の光ほどよし朴の花
籠枕坊主頭の置きどころ
ふるさとの山河は青し洗鯉
大榾や母の教へし夏下冬上
なにもかもあなたまかせの海鼠かな
枯蓮や一火放てば火の海に

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