小さな政府
官から民へ。郵政改革は改革の本丸。自民党は「小さな政府」を目指す――という小泉劇場の宣伝ビラに魅了され、今朝９月４日の朝日新聞の世論調査によると「自民優勢、過半数の勢い」だそうだ。
小生は、この「小さな政府」に、うさんくさいものを感じていたが、９月１日の、同じく朝日新聞で、対米10年、ハーバート大医学部助教授の金木正夫氏が解説している「小さな政府」論にわが意を得た。
小泉首相が提唱している「小さな政府」とは、できるだけ市場にまかせるべきだというアメリカ型「小さな政府＝競争社会」をモデルにしているという。 そもそも「小さな政府」は、東西冷戦後のグローバル化社会における最大の焦点のようだ。英国のサッチャー改革の成功などで、一躍脚光を浴びたが、要するに市場（競争）原理をに重きを置く政策の代名詞のようになっているそうだ。
市場（競争）原理を基にするアメリカの現況は、承知の通りだ。一握りの大企業やアメリカンドリーマーだけが利益を独占し、貧富の差が厳然と拡大し、治安の不備や生活に困る人々が増えている。
果たして、日本はアメリカの後塵を拝してよいものか。
「わが国の一億総中流は崩壊した。貧困率は10年前にくらべ倍増。格差の拡大が改革の成果？」と述べているのは京大の橘木俊昭教授（労働経済学）だ。国民の平均所得の半分以下しか所得のない家計を「貧困者」とみなし、国民全体の何％になるかを示すダータによると、日本は15．３％で、世界で５位。先進国では３位という“高貧困率国”だそうだ。この数字は、約10年前の倍で、生活保護受給者は10年前は60万所帯だったが現在は100万所帯を越えている由。
なぜこうなったか。橘木教授は指摘する。①10数年らいの不況で失業率が高くなった②労働者になかで、フリーターや派遣社員など、賃金の低い非正規社員が急増した③高齢者間の貧富の格差が広がった――という。要するに「景気回復は一部勝ち組だけ」とのこと。
フランスやドイツは、政府による社会的不均衡の是正を重視し、最適な経済システムは国の文化や歴史によって異なるとし、米英流の“市場優先主義”とは一線を画そうとしているようだ。他方、「小さな政府」の対極にある北欧の高福祉国家の経済や教育は堅調のようだ。
「小さな政府」は有力な選択肢のひとつだが、世界の経済学者の間でも意見は分かれており、「改革」＝「小さな政府」ではないようだ。
所得は減っているのに所得税は上がっているわれらとして、どう選択すべきか……。
現在、就業者の３分の１が、低所得者といわれる非正規社員。政府は経済は回復傾向にあるというが、多くのリストラ者のうえに経済「回復」が成り立っていることを忘れてはならない。小生の周辺でも、高校生を子どもに持つ親の何人かが首を切られているのだ。（平成６年を１００とすると、現在銀行マンは４０という）
また、帰郷してみるとふるさとの経済は壊滅的的惨状に陥っている一方で、いなかのわが土地を新制なったばかりの市から無断でまきあげられようとしている小生として、アメリカ型コピーである「小さな政府」には、おおいなる不安と疑問を持っている。
今の自民党政権の考え方は、理解できない。日本人はみんな平等を願っていると思うのだが、一部の既得権保有者は自分のことだけで背一杯、その恩恵を生み出すのが一般市民であることを忘れて私利私欲に走っている。小泉さんはその典型、公明党までがおかしくなってしまっている。今こそ民主主義の力を発揮しないでいつはっきする。いいまの日本の状態はまさしく自民党政権の作り上げてきたものそのもの、きしみ始めてあせっている自民党の姿は滑稽であり醜い。
by jack (2005-09-04 17:56)
とおりすがりのネズミです。わたしも、「小さな政府」は、少し疑問を覚えています。
by 新・タビネズミ (2005-09-04 20:08)
日本の中で生活格差が大きくなっていってますよね。多くの企業が低賃金、業務効率化で収益をあげているわけですから、国内での購買意欲はどんどん下がって行きますよね。輸出にしてもその国の保護政策で必ずしもあてにし続けられるものではないと思うし、外ばかり見ないで中も良くみて欲しいと思います。
by にゃんこ飯 (2005-09-05 12:43)